熟年離婚は、感情的な問題だけでなく、生活・お金・健康・人間関係 まで大きく変わります。
特に50〜60代以降は、再スタートを切るための基盤が限られるため、現実をしっかり把握することが大切です。以下では、熟年離婚後に実際どうなるのかを、「収入・住居・孤独」に分けて詳しく解説します。
■ 1. 【収入】離婚後の生活費はどう変わる?
▼ 年金収入は“夫婦のときより減る”が、女性は年金分割で安定する
熟年離婚で最も影響が大きいのが 年金収入 です。
● 女性側の変化
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厚生年金は 最大半分まで分割可能
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夫の年金額が高いほど、分割で得られる金額も増える
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ただし、国民年金+分割年金だけだと月10〜12万円程度になるケースが多い
→ 家賃や生活費でギリギリになりやすい
● 男性側の変化
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分割で年金が減るため、
離婚前より 月1〜4万円ほど減少 するケースが多い -
家事ができず外食・総菜に依存 → 出費増も多い
▼ 生活費は “1人暮らしの方が割高になる”
夫婦2人のときよりも、
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家賃
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光熱費
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通信費
などは 1人暮らしのほうが高くつきやすい。
→ 特に女性側のほうが影響が大きい。
▼ 仕事を続ける人が増えている
離婚後の収入不足を補うために、
50〜60代で「パート・アルバイト・在宅ワーク」を続けるケースが増加。
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週3〜4日勤務で月8〜12万円
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在宅ワーク(入力・ライティング)で月3〜5万円
など、少額でも生活の安定につながる。
■ 2. 【住居】住む場所の問題は最も重要
熟年離婚で最も大きく変わるのが “住居” です。
▼ 女性側のリスク:賃貸審査が通りにくい
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収入が少ないと「保証人」や「家賃の支払い能力」を疑われる
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働いていても非正規だと審査が厳しい
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結果として、実家に戻る・古いアパートに住む といった選択をする人も
▼ 男性側のリスク:家事ができないまま一人暮らしに
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食生活が乱れる
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生活が荒れる
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健康状態が悪化しやすい
特に60代以上では、家事スキルがないと生活維持が難しい。
▼ 持ち家がある場合のパターン
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家を売って財産分与
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どちらかが住み続け、もう一方に“持ち分の代価”を支払う
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仮に住み続ける場合でも、固定資産税・修繕費 は継続的に必要
住居問題は熟年離婚で最も揉める部分です。
■ 3. 【孤独】男女で明確な差が出る現実
▼ 女性:孤独を感じにくい傾向
理由:
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もともと友人関係を保ちやすい
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コミュニティに属しやすい
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趣味活動に積極的
→ 離婚後のほうがイキイキする人も多い
▼ 男性:急激に孤独が増えやすい
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会社以外の人間関係が少ない
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友人づくりが苦手な人が多い
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家事ストレスと孤独が重なる
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食生活が乱れ健康を損なう
→ その結果、
60代男性の“孤独死リスク”は離婚女性の数倍 と言われています。
■ 4. 熟年離婚後の“リアルな生活モデル”
▼ 女性・60歳・パート勤務(月10万円)・年金後受給(合計12万円)
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家賃:5〜6万円
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食費:2〜3万円
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光熱費:1万
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交際費:1〜2万
→ 毎月ギリギリ。貯金はほぼ難しい。
→ ただし精神的に自由になり、幸福度は高いケース多数。
▼ 男性・65歳・年金17万円 → 分割後14万円
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家賃:7万円
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食費:4万円
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外食:多めで出費増
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健康診断で異常が出やすい
→ 生活はできるが 孤独と健康の悪化が課題。
■ 5. 熟年離婚後の生活を安定させる3つのポイント
① 収入源を確保する(週2〜3日の仕事でも大きい)
② コミュニティに属する(孤独対策は必須)
③ 無理のない住居プランを作る(住居コストが最重要)
■ まとめ|熟年離婚後の生活は「自由」と「現実」の両方がある
熟年離婚は、
● 金銭面は厳しくなりやすい
● 精神面は自由になりやすい
という特徴があります。
特に女性は精神的な解放感、
男性は孤独と健康への不安が強く出る傾向があります。
離婚自体が悪いわけではありませんが、
「収入・住居・孤独」の3つを冷静に考えることで、
離婚後の人生を安定させることができます。


