はじめに
毎年夏になるとニュースで耳にすることが多い「腸管出血性大腸菌(EHEC)」。
特に「O157」という名前は多くの人が一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
腸管出血性大腸菌は、激しい腹痛や血便を引き起こすだけでなく、重症化すると溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などの重篤な合併症を引き起こす危険な細菌です。
この記事では、腸管出血性大腸菌の特徴や感染経路、症状、治療法、予防方法について詳しく解説します。
腸管出血性大腸菌とは?
腸管出血性大腸菌(EHEC)は、ベロ毒素(志賀毒素)という強力な毒素を産生する病原性大腸菌です。
大腸菌の多くは人や動物の腸内に存在する無害な菌ですが、一部の大腸菌は病気を引き起こします。その中でも特に危険なものが腸管出血性大腸菌です。
代表的な種類は次のとおりです。
- O157
- O26
- O111
日本ではO157による感染が最も多く報告されています。
なぜ危険なのか?
腸管出血性大腸菌が危険とされる最大の理由は「ベロ毒素」です。
この毒素は腸の細胞だけでなく、腎臓や脳にもダメージを与えることがあります。重症化すると以下の病気を引き起こします。
溶血性尿毒症症候群(HUS)
- 急性腎不全
- 貧血
- 血小板減少
などが起こる重篤な合併症です。
脳症
- 意識障害
- けいれん
- 昏睡状態
など命に関わる症状が発生する場合があります。
主な症状
感染後3~8日程度の潜伏期間を経て発症します。
初期症状は以下のようなものです。
- 水様性の下痢
- 激しい腹痛
- 吐き気
- 軽い発熱
その後、
- 血便
- 出血性大腸炎
へ進行する場合があります。
特に血便が出た場合はすぐに医療機関を受診する必要があります。
感染経路
1. 加熱不足の肉
最も有名な感染経路です。
- ユッケ
- レバ刺し
- 生焼けの焼肉
- ハンバーグ
などが原因になることがあります。
2. 汚染された野菜
牛などの家畜由来の菌が野菜に付着し感染することがあります。
- サラダ
- 漬物
- カット野菜
なども注意が必要です。
3. 人から人への感染
腸管出血性大腸菌は少量の菌でも感染します。
そのため、
- 保育園
- 幼稚園
- 介護施設
- 家庭内
で二次感染が発生することがあります。
治療方法
現在のところ、特効薬はありません。
主な治療は、
- 水分補給
- 点滴
- 整腸剤
- 症状に応じた対症療法
です。
自己判断で市販の下痢止めを使用すると症状が悪化する可能性があるため注意が必要です。重症化した場合には入院治療が行われます。
予防方法
手洗いを徹底する
最も重要な予防法です。
次のタイミングでは必ず石けんで手を洗いましょう。
- トイレ後
- 調理前
- 食事前
- 生肉を触った後
肉は中心まで十分加熱する
厚生労働省は生肉や加熱不足の肉を避けるよう呼びかけています。
加熱の目安
- 中心温度75℃以上
- 1分以上加熱
調理器具を分ける
生肉を扱ったまな板や包丁をそのまま使うと二次汚染の原因になります。
野菜をよく洗う
サラダや生野菜は流水で十分洗浄しましょう。
特に注意が必要な人
以下の方は重症化リスクが高いとされています。
- 乳幼児
- 高齢者
- 妊婦
- 基礎疾患のある人
これらの方は特に生肉や加熱不足の食品を避けることが重要です。
2026年も注意が必要
腸管出血性大腸菌感染症は夏から秋にかけて増加する傾向がありますが、年間を通して発生しています。自治体や保健機関は毎年注意喚起を行っています。
まとめ
腸管出血性大腸菌(O157)は、わずかな菌数でも感染する非常に危険な食中毒菌です。


